2009年10月6日火曜日

HAYABUSA ~ back to the Earth

この間、種子島から地上400kmを飛んでいる国際宇宙ステーション(以下ISS)に向けてHⅡ-Bロケットが打ち上げられた。その中には物資輸送船HTVが入っていた。ISSに必要な物資を乗っけて物資を輸送し、いらないものを積み込んで最後大気圏に突入させ燃え尽きるように設計されたものである。スペースシャトルの運用がもうじき切れるのでISSに大型物資を送れる輸送船としてISS運用各国から期待されている機材だ。

見事宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は、HTVをISSに近づけカナダのアームに拾ってもらってドッキングに成功した。

しかし、このHTVのドッキングを成功させた裏には、JAXA(JAXA前身組織も含む)が以前打ち上げた衛星たちの失敗、成功のあらゆるデータの蓄積がある。その中に今現在地球を目指して飛んでいる小惑星探査機「はやぶさ」がある。

そのはやぶさに焦点を当てて作られたプラネタリウム番組が「HAYABUSA~Back to the Earth~(以下作品の名称HAYABUSA)」である。

HAYABUSAのナレーションは、ウルトラマンタロウで東光太郎役をやっておられた篠田三郎さんなのだ。非常に聞きなれたナレーションなのですぐわかった。篠田さんは「はやぶさ」のことを「彼」とか「君」と表現する。擬人化されていて「はやぶさ」にあたかも命が宿っているような錯覚に陥る。

さてこの「はやぶさ」、HTVと同じく種子島から小惑星イトカワに向けて打ち上げられた。ただし、HⅡ-Bよりも小さい出力のM-5ロケット。打ち上げの推進力は足りないので、地球の引力を使ってのスイングバイを行ってイトカワを目指す。

探査目的は、主に5つ

  1. 新型エンジンイオンエンジンを使って長い旅路を旅を続けられるということを実証すること
  2. イオンエンジンと地球重力を使ってのスイングバイの力を併用すること
  3. 小惑星とのランデヴーを行うこと
  4. 小惑星のかけらの採取
  5. 採取サンプルを持ち帰ること

以上のミッションが課せられていた。

さてなんで、目標にイトカワが選ばれたのだろうか?
原始太陽系は、地球のような重い岩石惑星、木星のような軽いガス惑星、海王星のような氷のようなもので出来た惑星という配置で作られた。しかし、地球のような惑星はどろどろに溶けてしまって原始太陽系の頃の記憶がない、ガス惑星はガスの集まりなので記憶自体がない、氷の惑星では意味がない。

しかし、小惑星は変質せず原始の頃の太陽系の記憶を残している。

イトカワは小惑星としては異質な軌道を描いて太陽の周りを回っている。本来、小惑星は火星と木星の間をぐるぐる回っているのだが、イトカワは火星の内側を回る軌道を通るときがある。そのタイミングを狙って「はやぶさ」は地球を発った。

地球に近づいてくる頃には東京大阪間を15秒で行くスピードになって帰ってきた「はやぶさ」。スイングバイのストライクゾーンど真ん中を地球の半周を超える距離通さなければいけない。見事、スイングバイを行った。

地球に2回近づいてスイングバイを行い「はやぶさ」は2年ほど飛行した頃・・・「はやぶさ」の目にかすかにイトカワをとらえていた。
そして、イトカワにやっと到着、2ヶ月の間イトカワのデータを集めた。

イトカワは最大級のタンカー大きさであるということ、イトカワの重力分布が思っていたより弱かったということ、地球に降り注ぐ隕石と同じ成分をしていること、形はラグビーボールのような形ですべすべした表面だと思っていたがカリントウのようにゴツゴツした岩場ばかりの地形であるということ。

さてそのデータを送ってきた「はやぶさ」、ようやっとメインミッションに向けて最終点検を始めた。すると、リアクションホイール(姿勢制御装置)3つのうち2つが死んでいることがわかった。しかたがないので、生きている一個のリアクションホイールとエンジンの噴射で姿勢を制御することになった。

さて、前段階としてターゲットマーカー(目印)を投下する。マーカーには「はやぶさ」の探査計画に賛同した人たちの名前が刻まれたものが収納されている。そのマーカーはソフトボールの大きさくらいだ。それを目指して「はやぶさ」は舞い降りるのだ。

いや、予定だった。予行演習で突然浮上した。なにかおかしい。次は本番だった・・・。

ターゲットマーカーに徐々に近づく、ところが姿勢が制御できない状態に陥り不時着した。その後「はやぶさ」は地球との連絡を絶った・・・。

次に「はやぶさ」からの連絡があったときは、イトカワの20km上空にいた。

しかし、地球帰還軌道に乗せるための時間はあと少ししかなかった。チャンスはこれだけ・・・もう一度イトカワに向かった。着陸は成功しすぐ離陸した。イトカワは太陽光線をさえぎるものがないので、猛烈な熱にやられてしまうから、離陸はすぐ行われた。

が、イトカワを離れてすぐ地球との連絡をまた絶った。

地球は彼の鼓動を感じようと信号を送り続けていた。すると微弱ながら彼の鼓動がかすかに聞こえるようになった。彼のこの鼓動を絶やさないように姿勢制御が取れるようにした・・・。

そして現在彼は地球へ満身創痍ギリギリの状態で向かっている。

おそらく来年の6月地球へ採取したものを納めたカプセルを落とし、自分は地球の大気で消え去る運命だ。

という内容の番組だった。

かなり端折られた内容だったが、かなり凝った映像だった。
擬人化をどう判断するか分かれるところだと思うが・・・自分としてはアリだと思う。
ただ、演出にこだわるあまり暗くなるとはやぶさが見にくかったりする部分があって、なにを意図しているのかわからなくて冗長に感じる部分があったのが残念なのとエンディングが癒し系の女性のボーカリングで狙っている感が否めない気がする。

ただ、はやぶさ・・・帰って来い!と願いたい。


プラネタリウム番組 
HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- ハヤブサ~バック・トゥー・ジ・アース
12/6(日)まで!毎日(休館日を除く)
観覧料:大人400円、中学生以下200円(博物館入場料200円が別に必要)

オススメ度★★★★☆

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